シンポジウム「人間社会と虫」
3月27日(月)の14:00~16:30に、小金井宮地楽器ホール(〒184-0004 東京都小金井市本町 6-14-45)の大ホールにて、「人間社会と虫」というテーマで4名の方に話題を提供していただきます。多くの方のご参加をお待ちしております。参加費は無料です(事前申込も必要ありません)
シンポジウムの趣旨
現在の人類が地球上に誕生したのは、約20万年前といわれている。一方、昆虫の出現は早く、4億年前にはすでにこの地球に存在していた。昆虫は、地球上のあらゆる環境に適応して多様性を育み進化を遂げてきたが、人類も地球環境を改変しながら繁栄してきた。農業生産や医学の発達など科学技術が発達し、世界人口はますます増加している。このような人間の現代社会において、昆虫などの節足動物(虫)がどのように人と関わり、応用昆虫の研究がどのように人間社会に役立っているのだろうか。農業の現場では、化学合成農薬が開発され近代農業における害虫防除の主流になっている。しかし、新しい化学合成農薬を開発しても農薬抵抗性を獲得した害虫被害の問題は後を絶たない。そのため病害虫防除の分野で提唱されている総合的有害生物管理の基幹的技術として、化学合成農薬のみに頼らない新しい発想の防除技術の開発が求められている。また、虫は人間にとって直接的な脅威にもなる。なかでも、蚊は、多様な感染症を媒介するため人類の最大の敵である。蚊の防除法の開発は、世界的に重要な研究テーマであり、その最前線の研究に注目が集まっている。一方、虫を人の福祉に用いる研究もある。なかでも医薬の開発に昆虫を利用するという新しい応用昆虫研究の展開が期待されている。本シンポジウムは、「人間社会と虫」をテーマに4名の研究者に話題を提供していただき、虫に関わるイノベーティブな研究の最前線を紹介することを目的としている。
本シンポジウムでは、まず、農業における害虫防除の新技術に着目して、世界的に注目されているRNA干渉と光を用いた害虫防除法についてご紹介いただく。University of Western OntarioのGrbic博士には“Genomic approaches in chelicerates and insects: from biotechnology and pest control to new materials and understanding of the evolution of complex developmental programs”を、農業・食品産業技術総合研究機構の霜田政美博士に「光と色を制御する害虫防除技術”光防除“の最前線」と題してご講演いただく。次に、昨今、世界的に問題になっている蚊の防除に関する最新の研究紹介を「媒介蚊対策の最前線,デング熱・ジカウイルス感染症対策の現状と将来展望」と題して国立感染症研究所の沢辺京子博士によりご講演いただく。さらに、人のためになる昆虫の研究例として、帝京大学医真菌研究センターの関水和久博士より、「カイコを利用した医薬品候補化合物の探索」についてご講演いただく。
招待講演
- 座長: 仲井 まどか (東京農工大学農学府)
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Miodrag Grbic (Department of Biology, University of Western Ontario)
“Genomic approaches in chelicerates and insects: from biotechnology and pest control to new materials and understanding of the evolution of complex developmental programs” -
霜田 政美 (農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門)
「光と色を制御する害虫防除技術”光防除“の最前線」 -
沢辺 京子 (国立感染症研究所 昆虫医科学部)
「媒介蚊対策の最前線,デング熱・ジカウイルス感染症対策の現状と将来展望」 -
関水 和久 (帝京大学医真菌研究センター)
「カイコを利用した医薬品候補化合物の探索」 - 総合討論
※ Grbic博士には,本大会の小集会(3月28日)および本学会と千葉大学との共催セミナー(3月30日)でもご講演いただく予定です。
- 3月28日(火) 18:00~
小集会「W03:殺虫剤作用機構談話会」(C会場)
“Genomic and metabolic approaches to develop next generation pest management tools for phytophagous mites: from RNAi to plant-based bio pesticides and resistance detection”- 3月30日(木) 10:30~
共催セミナー「Molecular mechanisms of plant-herbivore interaction」(主催: 千葉大学大学院園芸学研究科応用昆虫学研究室 | 千葉大学松戸キャンパス)
“Concepts of plant-herbivore interactions: a case of an extreme generalist, the two-spotted spider mite, Tetranychus urticae”